人事労務トピックス

あなたの会社は大丈夫ですか?時代遅れにならないための「手当の見直し方」(4)

営業手当

  
営業手当は、主に事業所外で営業活動に従事する社員に対して支給する手当です。外勤手当などの名称で支給している企業もあります。ある調査によると約7割の企業が支給しています。(労務行政研究所「諸手当の支給に関する実態調査」2016)

営業手当の主な意義としては
・職務の困難度
・営業職としての金銭的負担への補てん
・時間外手当相当額

などがあげられます。

営業手当を支給している社員には、時間外手当を支給していない会社も多いと思います。営業社員には、時間外手当を支給しなくてもよいのでしょうか。
労働基準法の制度に「事業場外のみなし労働時間制」というものがあります。「労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定しがたいときは、所定労働時間労働したものとみなす」制度です。
この制度を適用すれば、時間外労働が発生しませんので、時間外手当は不要ということになります。
 
しかし、この制度が適用できるのは、「労働時間を算定しがたいとき」のみです。ルートセールスであらかじめ訪問先・訪問時間が決まっている場合や、当日上司から訪問先の指示を受け外出し、営業所に戻ってくる場合などは対象となりません。
この場合に時間外労働を行ったときは、時間外手当を支給する必要があります。
 
時間外手当の意味合いで営業手当を支給している場合は、就業規則や雇用契約書などでその旨を定めておく必要があります。実際に計算した時間外手当が営業手当の額を上回る場合は、差額を支給する必要があります。(規定例参照)「営業手当に時間外手当を含む」と規定されている場合がありますが、何時間分(あるいは何円分)含まれているか明確でない場合は、時間外手当と認められませんのでご注意ください。

【賃金規程 営業手当規定例】
第○条
営業職に就く者に対し、30時間分の時間外労働に対する手当として、営業手当を支給する。
2 前項に定める時間を超えて時間外労働を行った場合は、その時間数に応じた時間外手当を別途支払う。

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高橋 邦名(たかはし くにかた)

(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。 社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。

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