人事労務トピックス

専門的知識活かし社会に貢献するプロボノワークとは?

◆プロボノワークとは?
業務などで培った専門的知識やスキルを無償提供する社会貢献活動のことをいいます。ラテン語のPro Bono Publicoの略で、「公共善のために」を意味しています。個人での活動や企業単位での展開など、形態は様々ですが、もともとは、アメリカやイギリスの法曹関係者の間で始まりました。また、プロボノの活動を実践する人を「プロボノワーカー」といいます。日本でも新たな社会貢献活動として大手企業を中心に取り組む動きが出ています。

◆副業や兼業、ボランティアとの違い
プロボノはあくまでも無報酬であるという点で、副業や兼業とは異なります。また、業務などで培った専門的なスキルや経験を社会に役立てる点で、スキルやノウハウにかかわらずに社会的活動に貢献する一般的なボランティア活動とは区別されています。

◆期待されること
プロボノ活動を通じて、異業種と多様なネットワークを構築できるので、新たな価値観や知識等に触れ、自身のスキルアップやイノベーション創出が期待されています。実際、積極的に社員のプロボノワークを支援する企業も少なくありません。
例えば、証券大手のSMBC日興證券は、社員が業務時間の一部を社会貢献活動にあてることができる制度を導入しています(1週間のうち1日を通常業務から離れて社会貢献活動に充てる)。証券・金融業務で培ったスキルや知識を活かし、貧困問題の解決や若者の就労支援に取り組む2つの団体の活動を支援する形で展開しています。
同社がプロボノワークを導入したのは、企業としての持続的な成長を続けていくためには社会課題の解決に自ら積極的に取り組む必要があると判断したこと、さらに、社会貢献活動を通じ意識改革や業務の効率化、人材のスキルアップなどに結び付けたいというねらいがあります。また、通常業務とは異なる世界と関わることで、社会課題に対する感度や知見が高まり、視野や人脈の広がりも期待してのことです。

◆就活生の企業選びのトップは社会貢献度!?
株式会社ディスコが、2021年3月卒業予定の大学生らを対象に、SDGs(持続可能な開発目標)の認知度や就職先企業で取り組みたいこと、企業の社会貢献度と就職志望度との関連などの調査・分析を行っています(※調査期間:2020年8月1日~6日、回答数:853人)。
調査結果によると、就職先企業に決めた理由のトップが「社会貢献度が高い」30%となっています(2位は「将来性がある」28.5%、3位が「職場の雰囲気が良い」26.5%)。
学生が社会貢献に高い関心を寄せていることがわかります。

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高橋 邦名(たかはし くにかた)

(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。 社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。

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