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社労士が解説!労務問題 Q&A「退職勧奨」

退職勧奨

退職勧奨は、使用者が労働者の自発的な退職を働きかけるための説得行為であり、それを受けるか否かは対象とされた労働者の自由です。
実務上、退職勧奨は、不況時の人員削減策やいわゆる問題社員に対する自主退職を促す策などとして行われることが一般的です。
労働者に退職を勧める退職勧奨を行うことは、原則として自由です。労働者が退職勧奨に応じた場合は、労働契約上の「合意解約」となり、「解雇」には当たりません。しかし、その手段・方法が社会通念を逸脱することは許されません。
判例では「労働者の自発的な退職意思を形成する本来の目的実現のために社会通念上相当と認められる限度を超えて、当該労働者に不当な心理的圧力を加えたり、又は、その名誉感情を不当に害するような言辞を用いたりすることによって、その自由な退職意思の形成を妨げるに足りる不当な行為ないし言動をすることは許されず、そのようなことがされた退職勧奨行為は、もはや、その限度を超えた違法なものとして不法行為を構成する」とされています。
これを踏まえ、退職勧奨を行う際の留意事項として次の5点が挙げられます。

退職勧奨を行う際の留意事項
①面接者は2人とし、1人が話し手で、もう1人は書記とする(記録を取っておくことが重要)
②1回の面談時間は30~40分程度を目安として、長くなりすぎないようにする(強要と取られないように注意する)
③面談は就業時間中に会社施設内で行い、終業時刻前に行うこと(面談終了後そのまま帰宅させる)
④面談中に被面談者が感情的になり始めたら、面談を中止する
⑤面談者が退職しない旨の明確な意思表示をした場合には、原則として退職勧奨を継続するのは控える

退職勧奨に際して割増退職金を支払うことは、法的には必要ありません。しかし、人員削減など使用者の都合による退職勧奨の際には支払うことが多く、その他の場合についても退職への契機とすべく支払いを検討したほうがよい場合も多くあります。
それでは、退職勧奨を拒否された場合はどうすべきでしょうか。
解雇を検討することになりますが、退職勧奨と解雇の有効性の判断は別の問題であり、使用者が退職勧奨を拒否した者を解雇したとしても、直ちにその解雇が有効になるわけではありません。
当該解雇については、別途、客観的な合理性や相当性があるかどうか、その有効性が判断されることになります。解雇事由がないにもかかわらず、使用者において、退職しなければ解雇となる旨を告知しつつ、退職勧奨を行い、その労働者が退職願を提出した場合、後に、錯誤(誤認識)等を理由として、その意思表示の無効や取り消しを主張されるリスクがあるため、注意が必要です。

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高橋 邦名(たかはし くにかた)

(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。 社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。

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