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社員の「やる気」と現場力

「やる気」を引き出す2つの理論とは

 
人財を活かし、企業価値を高める経営において、従業員の「やる気」が何よりもベースとなります。従業員の「やる気」を引き出す上で、貴重な示唆を与えてくれる2つの理論があります。
アメリカの心理学者であるアブラハム・マズローが人間の行動と欲求の関係について説いた「欲求5段階説」、そして行動科学の理論としてハーズバーグが提唱した「動機付け要因」の考え方の2つです。
マズローの「欲求5段階説」では、ピラミッドのように積み上がっている階層で、最下層の欲求が満たされると2段目に、2段目の欲求が満たされると3段目にというように、下位の欲求が満たされることで上位に移行していきます。
第1段階の人間の生命維持に不可欠な欲求、生きていくための基本的・本能的な生理的欲求で生命が維持されると、続いて第2段階の健康、経済的安定、危険のない暮らしがしたいという安全の欲求や第3段階の集団に帰属したり仲間を得たいと思う、社会に属することへの社会的欲求へと移っていきます。
つまり、生活の安全を確保しつつ、集団(社会)の一員となることを望み、社会の一員として働くことによって賃金を得たいという欲求は、お金を手に入れ衣・食・住を確保するということに他なりません。
人は、第1段階~第3段階の欲求で基本的欲求が満たされることにより、上位の成長欲求に向かいます。
第4段階の欲求は、他者から認めてもらいたい、尊敬されたいという、内的な心を満たしたいという欲求です。従業員であれば、上司から認めてもらいたい、社長から褒めてもらいたい、同僚からも尊敬を得たいという気持ちのことです。
そして、第5段階の自己実現欲求は、自分の素質や能力を引き出し、創造的な活動がしたい、可能性を追求し自ら成長しようという、より完全な自己実現を果たしたいという高度な欲求です。

挑戦する意欲こそ「やる気」

 
以上の欲求5段階説にハーズバーグが分類した審理の要因を重ね合わせると、従業員の満足やモチベーションをアップする仕組みがより分かりやすくなります。
すなわち、ハーズバーグの『満たされないと不満を持つが、満たされると当然と思うだけの「衛生要因」』は、マズローの第1~第3段階までの欲求と酷似しており、『これが働いていると「やる気」が起きる「動機付けの要因」』は、マズローの第4段階以降とほぼ同じ傾向といえます。
従業員はマズローの「成長欲求」、ハーズバーグの「動機付け要因」が満たされて初めて、「働いてよかった」「人間として生まれてよかった」という充実感に包まれます。
そして、そこに向かって挑戦する意欲こそ「やる気」と呼ぶことができます。
組織の末端まで従業員の「やる気」で満たされ、それぞれの現場での人財力を結集して企業価値を高める。
この構図をいかにして創り出していくかが大切な経営課題となります。
 

「やる気」の土壌づくりは社長の仕事
 

企業経営の現場において、5段階の欲求のうちの基本的欲求が満たされていないケースも決して少なくはありません。
労働時間などは労務管理、法令順守の問題ともつながってきますが、長時間労働を強いているとしたら生理的欲求は然り、安全の欲求が満たされていないことにもなり、従業員の不満を募らせることになります。
つまり、基本的欲求に関しては、生活の基盤を保証し、企業風土を作っていく上で、経営者の責任となります。賃金制度はその根本となるものであり、従業員にとって将来的な処遇の見通しが立つこと、生活水準が予測できることが重要です。
その観点に立つと、当事務所でご紹介している生データに基づいた「ズバリ!実在賃金」は最適のデータ、「指標」であると考えます。実際の中小企業の賃金水準をベースにモデル賃金を算定することができ、従業員の成長に応じて下位~上位のキャリアパスを前提とした将来の賃金水準も把握することができます。

説得力のある賃金体系をベースとすることが重要

 
裏付けのない賃金の決め方では得られない、従業員に対する説得力のある賃金体系をベースとすることが重要なのです。
たとえば、友達と一緒にのれんをくぐって居酒屋に入ろうとしたとき、その店の中で客同士が口げんかしていたとすると、あえて嫌な思いをするのを承知でその居酒屋に入るでしょうか。
ほとんどの人は他の店を探すことにするでしょう。楽しく飲める場所がマズローの基本的欲求、ハーズバーグの衛生要因ということになります。会社も同じと言えなくもありません。
この基本的欲求を満たした上で、上位の成長欲求を刺激する施策を打つことによって、人財の成長を促します。OJT、OFF‐JTの中で自分自身が成長していると気づくような工夫をします。
組織活動において一定の役割を果たし、周りから認められることが、従業員にとって組織の一員としての自信の裏付けになるためです。
成長欲求は、いわば、会社の仕事を通して人間としての成長を目指していく過程であるといえます。
目指す方向性を明確にし、方向性に沿った人財育成をしていく。これは社長自身の仕事であり、こうした取り組みがあって、従業員は自分の存在意義を発見することができます。
すべての社員が最上位である自己実現の欲求に向かっていれば、会社の総合力は強化されていきます。そこにおいては、教育・訓練は欠かせませんし、教育の繰り返しがカギを握ることになります。

 

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