人事労務トピックス
3.82020
2019年の企業倒産状況~東京商工リサーチ調査
◆倒産件数が11年ぶりに増加
東京商工リサーチの調査結果によると、2019年の全国の企業倒産件数(負債総額1,000万円以上)は8,383件(前年比1.7%増)で、リーマン・ショックが起きた2008年以降、11年ぶりに前年を上回りました。一方、負債総額は1兆4,232億(同4.1%減)と、過去30年間で最少を更新しました。
なお、2020年1月度の倒産件数は、773件(前年同月比16%増)でした。こちらも約11年ぶりに5か月連続の増加となりました。
◆産業別では?
産業別の倒産件数は、飲食業等の「サービス業他」が2,569件(前年比2.2%増)で最も多く、4年連続で増加しました。これは主に消費税引上げに伴うものと考えられます。
次に、「建設業」が1,444件(同0.9%増)で、11年ぶりに増加しました。また、「小売業」、「製造業」、「運輸業」、「情報通信業」「農・林・漁・鉱業」が前年よりも増加しています。
◆「人手不足倒産」が深刻化
また、人手不足に関連する倒産は426件(前年比10%増)で、2013年調査開始以来、最多を更新しました。その内訳は、「後継者難」が最も多く270件(同2.8%減)で全体の6割超を占めています。「後継者難」による倒産は中小企業に多く、事業承継がスムーズに移行できないケースや、誰にも後継ぎをさせずに自分の代で終わらせるケースが多いようです。
次に、「求人難」が78件(同32.2%増)、「従業員退職」が44件(同83.3%増)、「人件費高騰」が34件(同30.7%増)と続きました。社員の定年退職や中核社員の独立、転職により人材が減少する一方で、新たな人材確保が難しくなっていることが問題となっています。
◆新型コロナウイルスの影響は?
現在、新型コロナウイルスの感染拡大により、中国に事業所や工場を持つ企業は現地での感染拡大防止への対応等で生産活動に影響が出ています。また、訪日客の減少によるインバウンド需要も減少し、日本国内の飲食店や宿泊施設にも影響を及ぼすことによる今後の倒産件数への影響が懸念されます。
高橋 邦名(たかはし くにかた)
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