人事労務トピックス
7.202017
ストレスチェックの具体的な進め方 (1)導入前の準備
ストレスチェック制度の導入に向けた準備についてお伝えします。
まず最初に、導入に向けた準備段階として、会社として「メンタルヘルス不調の未然防止のためにストレスチェックを実施する」旨の方針を示します。対象となるのは、1年以上雇用される(予定を含む)者で、1週間の所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上であれば対象労働者となります。
続いて、社内の衛生委員会等で、ストレスチェックの実施方法などについて以下の事項を決定します。
- ストレスチェックは誰に実施させるのか
- ストレスチェックはいつ実施するのか
- どんな質問票を使ってストレスチェックを実施するのか
- どんな方法でストレスの高い人を選ぶのか
- 面接指導の申し出は誰にすればいいのか
- 面接指導はどの医師に依頼して実施するのか
- 集団分析はどんな方法で行うか
- ストレスチェックの結果は誰がどこに保存するのか
これらの決定事項は社内規程として明文化し、全社員に内容を告知します。
続いて、実施体制と役割分担を決定します。実施体制の例としては、以下の内容が挙げられます。
①実施責任者 | 方針の決定など | 社長 |
②制度担当者 | 実施計画の策定 進捗状況の管理など | 人事部長 |
③実施者 | ストレスチェックを実施する者 | 産業医などの医師、保健師、厚生労働大臣の定める研修を受けた看護師・精神保健福祉士の中から選ぶ。外部委託も可能 |
④実施事務従事者 | 実施者の補助をする者。質問票の回収、データ入力、結果送付など、個人情報を取り扱う業務を担当する。 | 人事課課員(人事権のない者に限る)。外部委託も可能 |
⑤面接指導担当医 | 労働者の申し出により面接指導を実施する医師。 | 産業医などの医師。外部委託も可能 |
※④の実施事務従事者については、人事上の権限を持つ者がストレスチェックの結果を閲覧することは禁止されており、人事課長などが従事することはできません。権限を持たない人事課スタッフが実施事務従事者になることは可能ですが、外部委託することが現実的だと思われます。
以上が導入前の準備に必要な手続きで、次回はストレスチェックの実施の方法についてご説明します。
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高橋 邦名(たかはし くにかた)
(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。
社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。
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