人事労務トピックス

オフピーク通勤を導入しませんか?

◆東京都がポイント付与の実証実験
東京都が、三菱総合研究所と組んで、時差通勤した人に独自のポイントを付与する実証実験を行います。ポイントの名称は「東京ユアコイン」。ピーク時間を避けて出社するとスマートフォンの専用アプリでポイントを付与し、地区内の店舗の支払いなどに使えるというもので、通勤時の混雑緩和とキャッシュレス化の両面を後押ししようというものです。実証実験は約1か月で、ポイントは総額で最大2,500万円分。付与ポイント数を日により変えるなどして効果を探る。民間事業者のポイントにも交換できるようにします。
また、東急エージェンシーとも連携し、自由が丘など23区内の東急沿線53駅周辺で時差通勤者らに同じポイントを与える実験も行います。

◆都内の一部私鉄などではすでにポイント付与を本格導入
混雑緩和のため、時差通勤にポイントを付与する例は、すでに都内の私鉄や地下鉄などでも取り入れられています。京急電鉄は7月から、平日朝のラッシュ時間帯(午前7時半~9時)に上り各駅停車を使って品川駅に向かった客に「京急プレミアポイント」を提供するサービスを始めています。通勤通学で1年間各停に乗り続ければ4,000円分以上がたまるといい、系列店での買い物に使ったり、航空会社のマイルに交換したりできます。
 対象の電車では、平和島―品川間を走行中、車内放送に合わせて人間がほとんど聞き取れない「非可聴音」を流していて、専用のスマートフォンアプリにこの音を感知させることで乗車が証明され、ポイントが提供される仕組みということです。
 東急電鉄は2009年から、オフピーク通勤を呼びかける「早起き応援キャンペーン」を続けています。この夏は午前7時までに沿線の駐輪場を利用したり、午前7時半までに渋谷駅に着いたりすれば、飲食やスポーツ施設で使えるポイントが付与され、田園都市線では3%を超える混雑緩和効果が出たそうです。

◆働き方改革やワーク・ライフ・バランスに効果も
 国交省によると、東京圏の主要区間の混雑率は、ここ10年ほど165%前後で横ばいが続いているそうです。首都圏で時差通勤にポイント還元するサービスが一気に広がりつつあるのには、来夏に迫る東京五輪・パラリンピックに向けた混雑緩和策の側面もあります。ただ、時差通勤には都市部の通勤の混雑緩和だけでなく、働き方改革やワーク・ライフ・バランスへの配慮といった効果もあります。
業種や職種によって、一概に取り入れるのは難しいかもしれませんが、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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高橋 邦名(たかはし くにかた)

(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。 社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。

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