人事労務トピックス
1.302018
あなたの会社は大丈夫ですか?時代遅れにならないための「手当の見直し方」(1)
家族手当
数回にわたって「手当の見直し方」についてお伝えしていきたいと思います。
家族手当とは、扶養する配偶者や子などがいる社員に対し、支給する手当です。ある調査によると76%の企業が家族手当を支給していると回答しています(人事院「平成27年職種別民間給与実態調査」)。
どう見直せばよいか
共働きの世帯(1114万世帯 ※)が専業主婦世帯(687万世帯 ※)を上回っている現状では、専業主 婦を前提とした手当の支給は、意義が薄れていると考えます。(( ※)総務省「労働力調査」)配偶者に対する家族手当は廃止あるいは削減を考えていくのがよいと考えます。一方、子に対する手当を増額したり、18歳未満の子に対し支給していたものを、大学への進学率 が高くなっている実態を踏まえ22歳までに拡充することも意味があると思います。
【家族手当改定例】
旧 配偶者10,000円 子1人目5,000円、2人目3,000円(18歳まで支給)
新 配偶者 なし 子10,000円(22歳まで支給、人数制限なし)
新 配偶者 なし 子10,000円(22歳まで支給、人数制限なし)
また、従来は税法上の扶養の基準である年収103万円未満を配偶者に対する家族手当支給の要件にしている企業が多かったのですが、その基準が150万円へ引上げられることになりました(平成30年度より)。
健康保険上の扶養の基準である年収130万円未満を要件にすることをお勧めします。
制度を変更する場合のポイント
家族手当を見直す場合、単純に削減だけを行うと労働条件の不利益変更となります。労働契約法の定めにより、労働条件の不利益変更を行うには、原則としては労働者一人ひとりに同意を得る必要があります。
個別の同意を得ずに、就業規則の変更により労働条件を変更する場合は、不利益の程度、変更の必要性などが合理的でなければならないとされています。
具体的には、配偶者への手当を削減するかわりに、子に対しての手当を拡充することなどにより、賃金の総減資を減らさないことが変更の合理性を持たせるために重要です。
個別に賃金が減る従業員に対しては、数年かけて削減していくなどの経過措置を設けると理解を得やすいです。
社員に変更の必要性について事前に丁寧に説明し、理解を求めることが必要です。
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高橋 邦名(たかはし くにかた)
(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。
社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。
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