人事労務トピックス

2020年度の地域別最低賃金が改定、発効しました

◆コロナの影響で引上げ額の目安が示されず
10月1日から、2020(令和2)年度の地域別最低賃金額が改定、発効しました。今年度は新型コロナウイルスによる経済・雇用への影響を踏まえ、中央最低賃金審議会は「引上げ額の目安を示すことは困難であり、現行水準を維持することが適当」と答申し、引上げ額の目安が示されず各都道府県の地方最低賃金審議会での判断に委ねられることになりました。

◆全国の最低賃金の状況は?
今年度の地域別最低賃金は、7都道府県(北海道、東京都、静岡県、京都府、大阪府、広島県、山口県)が改定をせずに「据え置き」となり、その他の地域も1円から3円の引上げにとどまりました。全国加重平均は902円で前年度より1円の引上げとなりました。
 また、最低賃金が最も高い東京都(1,013円)と最も低い地域(秋田県、鳥取県、島根県、高知県、佐賀県、大分県、沖縄県の7県(792円))の金額差は221円(昨年度は223円)でした。地域間格差は若干縮まりましたが、依然として深刻な問題となっています。

◆「早期の全国加重平均1,000円」を掲げていたが…
 日本の最低賃金は他の先進国よりも低く、安倍内閣では年3%の引上げを明言し、昨年度は初めて1,000円を超す都県が誕生しました。また、早期の全国加重平均1,000円への引上げを目標に掲げていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって雇用が落ち込み、引上げにブレーキがかかってしまいました。
 コロナショックが続く中、菅内閣に政権が変わり今後の最低賃金の引上げにどのように対応するかが注目されます。
【厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」】

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高橋 邦名(たかはし くにかた)

(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。 社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。

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