人事労務トピックス

下請取引適正化に向けた取組みと「下請け駆け込み寺」への相談

中小企業庁では、下請取引の適正化に向けた取組みとして、平成28年9月に発表した「未来志向型の取引慣行に向けて」における3つの基本方針のもと、「価格決定方法の適正化」「コスト負担の適正化」「支払条件の改善」といった課題に重点をおいて、本来は親事業者が負担すべき費用等を下請事業者に押しつけることがないよう、継続的に徹底を図っているとしています。
これらの課題に対し、具体的には、親事業者に対する立入検査や、下請Gメンの活用による下請事業者に対するヒアリング調査の実施など、各種の施策を通じて下請取引の問題解決に努めています。今回は、その取組みの1つである、下請かけこみ寺についてご紹介します。

◆下請かけこみ寺とは?
下請取引の適正化を推進することを目的として、経済産業省 中小企業庁が全国48カ所に設置したものです。中小企業が抱える取引上の様々な悩み相談への対応や裁判外紛争解決手続(ADR)による迅速な解決を行っており、相談員や弁護士が、秘密厳守・相談無料で受けています。

◆下請かけこみ寺事業の実施状況(平成30年度)
平成30年度における「下請かけこみ寺」では、相談員による相談受付8,381件、弁護士による無料相談513件および裁判外紛争解決手続(ADR)の調停申立18件の案件に対応しています。

◆相談事例
「支払日を過ぎても代金を支払ってくれない」、「原材料が高騰しているのに単価引き上げに応じてくれない」、「発注元から棚卸し作業を手伝うよう要請された」、「お客さんからキャンセルされたので部品が必要なくなったと言って返品された」、「「歩引き」と称して、代金から一定額を差し引かれた」、「長年取引をしていた発注元から突然取引を停止させられた」など様々ですが、特に、代金の未払い、次いで取引中止、代金の減額に関する相談が多くあるようです。
公益財団法人全国中小企業振興機関協会の下請かけこみ寺ホームページには、下請かけこみ寺活用事例が紹介されていますので、ぜひ参考にしてみるとよいでしょう。
【全国中小企業振興機関協会「下請かけこみ寺」】
http://www.zenkyo.or.jp/kakekomi/soudan.htm

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高橋 邦名(たかはし くにかた)

(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。 社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。

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