人事労務トピックス

普及が進んでいる? 「子連れ出勤」の最新動向と留意点

◆少子化相、「子連れ出勤」を支援
宮腰光寛少子化相は1月、親が子どもを連れて出勤(「子連れ出勤」)を20年以上前から実施していることで有名な授乳服メーカー、有限会社モーハウスの視察を終えた後、「子連れ出勤」しやすくするための支援策として、コワーキングスペースや授乳施設の設置など先進的な取組みをする自治体に対し、地域少子化対策重点推進交付金の補助率を2分の1から3分の2に引き上げる、と公表しました。

◆第1子出産時、47%が退職
内閣府「「第1子出産前後の女性の継続就業率」の動向関連データ集」によれば、第1子出産後も就業を継続する女性は53.1%(育休利用を含む)、退職する女性は46.9%とのことです。近年は多くの育児支援策が法的に整備されていますが、いまもなお多くの女性従業員は、出産・育児のため離職しています。企業としては、「子連れ出勤」を制度化することで、これら女性従業員の離職防止が期待できます。

◆増えている事業所内保育所
事業所内保育所を設置できる企業においては、「子連れの出勤」はすでに日常的に行われているといえます。ローソン、ヤクルト、みずほFGなど多くの企業が、自社の名を冠した事業所内保育所を運営している時代です。厚生労働省「平成28年度 認可外保育施設の現況取りまとめ」によれば、事業所内保育所は4,766カ所(平成29年3月時点)あり、件数・入所児童数ともに、わずかずつながら年々増え続けています。

◆「子連れ出勤」制度化の際は
一方で、そのような保育のための設備やスタッフを持たない中小企業において、職場で業務をこなしつつ子どもの面倒もみるのは、容易なことではありません。制度として自社に導入する際には、入念な検討が必要です。
前述のモーハウス社の青山店では、「子連れ出勤」は1歳半までを原則としているそうです(歩きはじめた子どもが店外へ飛び出すのを防止するため)。ほかにも、始業を昼過ぎとする(通勤ラッシュを回避するため)、有事には単身スタッフがフォローできる体制とするなど、さまざまな工夫と配慮がみられます。
「子連れ出勤」の制度化においては、同社のような先進事例が参考になるでしょう。

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高橋 邦名(たかはし くにかた)

(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。 社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。

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