人事労務トピックス

中小企業の経営改善の進め方

人事賃金制度の改革で企業の活性化を実現!
企業の成長にともない重要経営課題は変化する

企業が成長するにつれて、経営課題の重点項目は変化します。企業がスタートした段階では、経営理念・経営戦略や開発・生産、あるいはマーケティング・企業体制など「ビジネスを継続して回す仕組み」に力を注ぐ必要があります。
そして、企業が成長するにともない、これらの仕組みそれぞれを「支援・管理する仕組み」として、総務・経理・人事・ITなどが重要課題になってきます。
たとえば、急成長を遂げた企業が株式公開を目指す際に、管理体制の強化が課題となるケースをしばしば目にします。本来が必要に迫られて対応すべきものではなく、企業の成長に応じて、内部統制を実現するためのインフラ整備を進め、配置換えを行い、人員を増やす必要があるのです。
当事務所は情報業であり、かつ製造業としての性格を併せ持ちます。クライアント企業に対して人事・労務に関する各種の情報を提供すると同時に、企業に新しい社員が入社した時の資格取得届をはじめ各種書類等を作成します。
現在25名体制になり、各人のスキルアップを図ると同時に、体制面の整備にも力を入れているところです。
各人がメールやインターネットなどの情報取得用、書類作成、データ作成など作業用の常時2つのパソコンのディスプレイを見ながら仕事をしており、総務・人事等管理部門の強化にも取り組んでいます。
環境整備にも配慮しているため、瞬く間に事務所のスペースが足りなくなり、増床を計画しているところです。ところが、成長段階にある多くの企業でとるべき対応をとれていないケースが多く見受けられます。
経営管理面が重要な経営課題であることを感じながらも、緊急度が高くない、すぐにやらなくても困らない(と経営トップが考えている)ために放置しがちです。
経営課題の中で、重要度は高くても緊急度が低い場合には、実行に移されない傾向にあります。

経営トップは売上に直結する施策は前向きに行いますが、緊急度の低い課題については後回しにしがちです。
しかし、特に人事に関しては、重要度が高いことは言うまでもありませんが、緊急度が低いというのは思い違いに過ぎません。
むしろ、いま実行しなければ我が社の将来はない重要経営課題として認識する必要があります。
その認識のもとに、賃金に対する不平不満を解消し、人材育成重視の人事政策を行うことを、経営者が情熱を持って社員に語りかけることが企業の成長につながるのです。

企業の成長は人事関連の施策が左右する

企業成長にともない重要経営課題は変化してきますが、特にボトルネックになりがちなのが、人財の質を高めるための仕組みづくりです。企業の人事部門は人材を採用した際に、営業部門や企画部門などの希望に応じて配分していくと人事部自身が欲しい人材を我慢するという笑えない実情があります。そうではなく、経営管理部や労務部などで社員のライフプランの設計を行う青写真を描き、その青写真に沿った形で経営課題に取り組む必要があります。
具体的な重要経営管理項目としては、図2-Bの内容が考えられます。
これら10項目のうち1~7については、緊急度が高いため比較的早めに実行する傾向があります。
ところが、8~10の3項目については遅れがちなのが実情です。

特に図2-Aの④「中小企業」から⑤「中堅企業」へとステップアップする段階が最も困難であり、「企業の成長の壁」というべきハードルが待ち構えています。
この段階で社員のモチベーションアップにつながるアクションをとることが不可欠であり、とるべきアクションをとれないことが、企業としての成長にブレーキをかけてしまうのです。従業員のやる気の向上、人財の育成、従業員のライフプランの設計という課題は、早く取り組んでも早すぎることはありません。
従業員満足(ES)経営を目指す上では、以下に挙げた従業員の成長欲求を満たす必要があるからです。

①仕事を通してのやりがいと使命感
②自分が成長しているという充実感
③会社に貢献しているという達成感
④自分の将来、企業の将来性に対する見通し

マズローの欲求5段階説では人間の欲求(従業員の満足度)を100%として見た場合、賃金に当たる部分の欲求(基本的欲求)は55%に過ぎず、これらの4項目からなる働きがいや生きがいの成長欲求とされます。
従業員満足(ES)経営とは、会社の理念や目標と、従業員一人ひとりの成長欲求という人生設計のベクトルを合致させる人事管理システムがベースとなります。
このシステムが出来上がることによって、付加価値を高めるパワーアップされた活力のある人財が育成され、企業文化が革新され、企業の業績アップが実現できるのです。
成長プロセスで適切な経営課題をクリアしていかないと、特に離職率の上昇という形で危険信号が発せられると考えられます。
逆に打つべきタイミングで手を打つことによって、図3のように企業は成長を遂げることができるのです。

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高橋 邦名(たかはし くにかた)

(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。 社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。

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