人事労務トピックス
7.42018
振替休日と代休の違い
「休日の振替」は、休日と労働日を入れ替えることをいいます。たとえば、日曜日と 2 日後の火曜日を入れ 替え、日曜日を労働日、火曜日を休日にすることを指します。このように、休日の振替をすると、日曜日の労働は所定労働日の労働となり、休日労働とはなりません。
つまり、休日の振替をすれば、休日であった日に労働させても休日労働にはならないので、休日労働の割増 賃金を支払う必要がありません。その代り、休日の振替を行った場合は、その週に限っては振り替られた火 曜日が休日となるため、火曜日に労働させると休日労働になります。
一方、事前に振替の手続きをとらず、休日労働を行わせた後にその代償として与える休日を「代休」とい います。
代休を与えても休日労働を行ったという事実は消えないため、その場合には割増賃金の支払いが必 要となります。
労働基準法 35 条は、週 1 回または 4 週 につき 4 日の休日を与えるよう求めており、振替の結果 4 週中に 3 日しか休日がなくなると労働基準法違反 となります。
さらに労働基準法は、週の労働時間を 40 時間と定めており、振替の結果、ある週の労働時間が 40 時間を 超えることとなった場合、労働基準法の休日労働にはならなくとも、法定労働時間を超える時間外労働とし て割増賃金の支払いが必要になります。
つまり、4 週につき 4 日の休日を与えること、週の労働時間を 40 時間以内とすること―の 2 点が必要とな ります。
「振り替えられた休日が労働基準法 35 条の要件を満たすこと」
という 2 つの条件を満たす限り、振替休日は労働日となった元の休日より早い日、遅い日のどちらで与えても差し支 えありません。
第○条 業務の都合でやむを得ない場合は、前条の休日を他の日と振り替えることがある
2 前項の場合、前日までに振り替える休日を指定して社員に通知する。
3 振替休日を行った場合、休日出勤ではないので休日出勤手当は支給しない。
(代休)
第○条 業務上の必要により休日出勤をした場合は、代休を与えることがある。
2 前項の代休は、休日勤務した日から1カ月以内の取得を原則とする。
高橋 邦名(たかはし くにかた)
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