人事労務トピックス

トラブルゼロへ! 就業規則改定のポイント(3)

変形労働時間制を活用して、残業を減らそう(1)
 
みなさんご存知の通り、労働基準法では「1 日 8 時間、1 週間 40 時間を超えて労働させてはならない」と定められています。
しかし、ある会社は、月曜から金曜の他に月 2 回の土曜が出勤日となっています。1 日の所定労働時間は少し短く 7 時間 20 分です。土曜出勤の週の所定労働時間は 7 時間 20 分× 6 日で 44 時間となり、40 時間を超えてしまいますが、違反ではないのでしょうか?
実はこの会社は、「変形労働時間制」を採用しているのです。
変形労働時間制とは、一定の条件はありますが、特定の日や週に 1 日 8 時間、週 40 時間を超えて労働させても、平均して週 40 時間に収まっていれば、残業にならない(割増賃金を支払わなくてよい)制度です。
変形労働時間制には 1 ヶ月単位や 1 年単位のものがあります。
1 ヶ月単位は 1 ヶ月の中で、1 年単位は 1 年の中で業務の繁閑がある会社などが活用できます。会社全体だけでなく、職種単位や個人単位でも適用可能です。
今回は、1 ヶ月単位の変形労働時間制について説明しましょう。
 

1ヶ月単位の変形労働時間制

 

1 ヶ月単位の変形労働時間制は 1 ヶ月を平均して週 40 時間に収まっていれば、所定労働時間が 8 時間を超 える日があっても、また週 40 時間を超える週があっても時間外労働になりません。
例えば、月末が忙しく毎月残業をしていた経理担当Aさんの場合、 月初の所定労働時間を短く7時間にし、かわりに月末の所定労働時間を長く9時間にすることで、月末の 残業時間を減らすことができます。

 

1ヶ月単位の変形労働時間制を導入するためには、就業規則に定めることが必要です。

 

【規定例】
所定労働時間は、毎月1日を起算日とする1ヶ月単位の変形労働時間制とし、1ヶ月を平均して週40時間以内とする。

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高橋 邦名(たかはし くにかた)

(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。 社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。

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