人事労務トピックス

これからの人材育成戦略

◆「リスキリング」とは
「リスキリング(Reskilling/Re-skilling)」という言葉をご存じですか? これはもともと「従業員の職業能力の再開発・再教育」という意味合いで使われている言葉ですが、近時は、「市場ニーズに適合するため、保有している専門性に、新しい取組みにも順応できるスキルを意図的に獲得し、自身の専門性を太く、変化に対応できるようにする取組み」と位置づけられています。

◆「リスキリング」の有用性
デジタル化の進展や、コロナウイルスの問題など、現在、企業には、数多くの変化が生じています。あらゆる変化に備える必要があり、そのための対策の一環として、従業員の専門性やスキルを柔軟に取り扱う観点から、リスキリングの有用性が注目を集めています。たとえば、変化が生じるたびに、その変化に対応する新しいスキルを持つ人材を雇おうとするのは困難ですが、従業員がすでに習得しているスキルを再開発して底上げすることで対応が可能になれば、既存の人材で、企業が直面する多種多様な課題に対応することができ、大変有益です。
 一方で、日本においては、488万4,000人の労働者がリスキリングを行う必要があるとされており(IBMの2019年調査結果による)、まだまだ取組みが進んでいない状況が窺えます。

◆「リスキリング」の取組み
リスキリングに取り組む上では、従業員の能力や適性を把握して、今後獲得すべきスキルやキャリアの方向性を決定することが大切です。発見したスキルギャップを埋めるための学習を繰り返すことで、従業員のスキルは徐々に底上げされていきます。
企業にとってもメリットの多いリスキリング。人材を活用するための戦略の一環として、投資を検討してみてもよいかもしれません。

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高橋 邦名(たかはし くにかた)

(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。 社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。

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