人事労務トピックス

テレワークの実施状況と企業の採用活動への影響

◆導入が広まったテレワーク
これまでは大企業やスタートアップ企業などでの導入が目立っていたテレワークですが、昨年は新型コロナウイルス感染リスク防止の観点から急速に導入が広まりました。特に、緊急事態宣言が出された4~5月に、緊急対応的に始めた企業も多かったのではないでしょうか。
しかし、緊急事態宣言後、またテレワークの実施率にも変化が見られるようです。

◆テレワーク実施率の減少
厚生労働省が、LINE株式会社と協力して5回にわたり実施している「新型コロナ対策のための全国調査」によれば、最新の第5回調査(8月12-13日)では、第4回調査(5月1-2日)と比べて、オフィスワーク中心の人で「仕事はテレワークにしている」とした回答が40.8%⇒23.5%と低下していることがわかります。緊急事態宣言解除後に、一時的に実施していたテレワークを減らしたり、やめたりした例が多いことが読み取れます。

◆テレワークは企業の採用活動にも影響
実際に、業種によってはテレワークの実施が難しいという例もあるでしょうし、社内制度やインフラが整わずに実施できないという例も多いようです。ただ、一度テレワークを経験してきた人たちは、その便利さなどを経験してしまっていることから、元の意識に戻ることはなかなかできません。
株式会社リクルートキャリアが、全国の20~60代の就業者を対象に実施した新型コロナウイルス禍での仕事に関するアンケート(調査期間は8月7日~10日)によれば、転職検討中/活動中の人で、仕事選びの重視項目として「テレワークが認められている」を重視するようになった人の割合が大幅に増えているそうです。実際に、オンライン型転職エージェント「ジョブクル転職」を運営する株式会社スマイループスが実施した求人動向調査でも、求人タイトルに「在宅」または「テレワーク」が含まれる求人は、含まれない求人と比較して128%の高い応募率であることがわかったそうです。

◆変わる働き方
いま、働き方の意識は確実に変化してきています。テレワークの実施状況が今後の企業経営に与える影響は未知数ですが、今後、労働者の意識の変化にも目を向けながら、自社に最適の制度を検討していく必要があるでしょう。

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高橋 邦名(たかはし くにかた)

(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。 社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。

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