人事労務トピックス

国税庁が年末調整ソフトの提供を開始

◆年末調整の電子化に向けた取組み
 企業と従業員双方の事務処理の負担軽減を目的とした年末調整手続きの電子化に向けた取組みにより、令和2年分の年末調整から、生命保険料控除、地震保険料控除および住宅借入金等特別控除に係る控除証明書等について、勤務先への電子データによる提出が可能になりました。そして令和2年10月、従業員が年末調整の書類をインターネット上で作成するためのソフトウェア「年調ソフト」の提供が開始されました(国税庁ホームページからダウンロード可能)。電子化に対応している企業については、従業員へこれを周知し、電子化にともなって変更となる手続き等を確認し、来るべき年末調整に備えましょう。また、今年は対応しなかったという企業についても、従業員からの問合せが増えることが考えられます。来年以降の対応も含め、自社の対応をあらためて確認しておきましょう。

◆電子化のメリットと注意点
 電子化が進むと、従業員は「マイナポータル」を利用して簡単に申請書の作成ができるようになり、控除証明書等の紛失や計算ミスなどが減ります。企業は、これまで多くの労力をかけていた検算・付け合わせ等の確認作業が大幅に削減できるようになります。また、提出された控除申告書は7年間保存する必要があり、保管コストが発生していましたが、電子データでの保管が可能となるためこれを削減できます。一方で、情報漏洩を防ぐためのセキュリティの強化や、自社が使用する給与システムを対応させる場合の改修費が必要となる可能性もあり、注意が必要です。なお、電子化にあたっては、従業員に対する周知や給与システム等の改修のほかに、従業員から申告書に記載すべき事項を電子データにより提供を受けることについて、あらかじめ所轄税務署に承認申請書を提出する必要があります。
【「年末調整手続の電子化に向けた取組について(令和2年分以降)」(国税庁)】

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高橋 邦名(たかはし くにかた)

(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。 社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。

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