人事労務トピックス

高齢者雇用の実態と意識調査~連合調査から

連合が1月30日、「高齢者雇用に関する調査2020」結果を発表しました。昨年12 月にインターネットリサーチにより実施して 、全国の45 歳~69歳の有職者1,000 名の有効サンプルを集計したものです。ポイントは、以下の通りです。

◆現在の仕事と高齢者雇用について
60歳以上の働き方の現状は、労働時間が平均 6.8時間/日、労働日数が平均4.5日/週、賃金は平均18.9万円/月という結果でした。また、「職場にいる60歳以上の従業員・職員とコミュニケーションを取れている」と答えたのは、販売職で顕著となりました。
さらに、60歳以降も働くシニアの仕事満足度では、「働き方満足度」は 70.3%、「賃金満足度」は 44.0%にとどまっていることがわかりました。そして、60歳以降も働きたいと思う理由の1位は「生活の糧を得るため」、2位は「健康を維持するため」となっています。
また、高齢者が働くと現役世代にどのようなメリットがあるかという質問では、TOP2が「人手不足を補える」「スキルを伝承できる」でした。
高齢者がやりがい・働きがいを持って働き続けるために必要な配慮の1位は、「労働時間・日数への配慮」であることもわかりました。

◆65歳以降の就労について
65歳以降の適切な働き方としては、労働時間が平均5.4 時間/日、労働日数は平均3.9日/週、賃金は平均16.8万円/月という回答でした。また、「65歳以降、どのような働き方を希望するか?」の1位は「現役時代と同じ会社で正規以外の雇用形態で働く」でしたが、「現在の職場に70 歳まで就労できる制度がある」のは40.9%にとどまっており、「現在の職場で70 歳まで就労できないと思う」のは57.0%、就労できない理由の1位が「 70 歳まで働ける制度がない」でした。
また、「高齢者雇用の拡大の議論が政府で進んでいることを知っている」のは69.8%で、政府による 70 歳までの就労機会確保に向けた施策の推進に対する賛否では、「賛成」 が71.4%、「反対」が28.6%でした。賛成する理由としては、「労働力不足の解消と技術の伝承が必要」「『人生100 年時代』と言われているから」などで、反対する理由としては、「年金受給の先送りにつながる」「若い世代の就職の機会を奪うことにつながる」などが挙げられました。65歳以降の就労が当たり前になった場合の現役世代への影響予想の 1 位は「年金支給開始年齢が遅くなる」となっています。
ただ、「病気や体力の衰えがあっても働き続けたい」とする人は74.2%いて、65歳以降も働く場合に心配なことのTOP3として、「自身の体力」「自身の健康維持」「十分な所得」が挙げられていました。
 政府の高齢者雇用推進の施策がすすんでいくなか、企業としても高齢者雇用の環境整備をさらに真剣に考えていく必要がありそうです。

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高橋 邦名(たかはし くにかた)

(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。 社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。

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