人事労務トピックス
8.202018
トラブルゼロへ! 就業規則改定のポイント「定年制」
65 歳までの雇用が基本となる
定年制とは、労働者が一定の年齢に達したときに、自動的に労働契約が終了する制度です。
高年齢者雇用安定法では、 定年を定める場合には 60歳を下回ることはできないと定められています。
また、65 歳未満の基準の定めをしている事業主は、65歳までの安定的な雇用確保措置を図るために、平成 25 年 4 月より、下記の 3 つのいずれかの措置をとることが義務付けられています。
- 定年年齢を 65 歳まで引き上げ
- 65 歳までの継続雇用制度の導入(希望者全員を 65 歳まで継続雇用する制度)
- 定年の定めの廃止
以上のうち「2.」の「継続雇用制度」は、定年まで雇用している従業員が希望するときには、原則として希望者全員につき定年後も引き続き雇用する制度をいいます。
定年後再雇用は継続雇用制度の 1 つであり、定年によりいったん労働契約を終了させた上、 期間の定めのある再雇用契約を新たに締結し、 65歳まで更新していくことをいい、実務上、最も採用されている方法です。
再雇用時等の労働条件への不同意、労働条件変更の取扱い
再雇用時に、会社が定年前とは異なる労働条件を提示し、本人がこれに同意しなかった場合、会社は再雇用を拒否できるでしょうか?
また、再雇用契約の更新時に契約前と異なる労働条件を提示し、本人が同意しなかった場合はどうでしょうか?
こうした場合、合理的な労働条件を提示したにもかかわらず、合意に至らなかった場合には、再雇用および契約更新を拒絶することは可能であると考えられます。
それでは、再雇用時の労働条件について、定年時と比較して就業日数や労働時間を短くし、あるいは職務内容を変更することはできるでしょうか?
再雇用契約の条件提示は使用者に裁量が認められ、そのような条件提示を行うことも否定されません。
ただし、①社会通念上、当該労働者に受け入れ難い条件、②著しく賃金が低い条件等の提示は、高年齢者雇用安定法違反となる可能性があります。
〈規定例〉
(定年)
第○条<br>社員の定年は満 60 歳とし、満 60 歳の誕生日の次に到来する給与締切日(誕生日が給与締切日の場合はその日)をもって退職とする。
但し、本人が希望し、就業規則に定める解雇事由または退職事由に該当しない場合は、65歳を限度として嘱託社員として雇用契約を更新することができる。
第○条<br>社員の定年は満 60 歳とし、満 60 歳の誕生日の次に到来する給与締切日(誕生日が給与締切日の場合はその日)をもって退職とする。
但し、本人が希望し、就業規則に定める解雇事由または退職事由に該当しない場合は、65歳を限度として嘱託社員として雇用契約を更新することができる。
2 嘱託社員として再雇用する場合は、1年以内の期間を定めて雇用契約を締結することとし、会社は当該労働契約の更新に対しては、雇用契約書に定める判断基準により更新の有無を判断する。
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高橋 邦名(たかはし くにかた)
(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。
社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。
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