人事労務トピックス

3月1日から障害者雇用率が引き上げられます

◆改正の概要
障害に関係なく、希望や能力に応じて、誰もが職業を通じた社会参加のできる「共生社会」実現の理念のもと、障害者雇用促進法(障害者の雇用の促進等に関する法律)において、事業主には、障害者雇用率以上の割合で対象障害者を雇用する義務が課されています。この法定の障害者雇用率が、令和3年3月1日から0.1%引き上げられることになりました。
改正の経緯としては、平成30年4月1日施行の改正で、法令上は、2.0%から「2.3%」に引き上げられました。ただし、経過措置として、平成30年4月1日から起算して3年を経過する日より前に廃止することして、当分の間は、「2.2%」とすることとしていました。
この経過措置の廃止の期日が、「令和3年3月1日」とされ、結果的に、同日から法令上の「2.3%」が適用されることになりました。

◆障害者雇用率
事業主(国および地方公共団体を除く)は、その雇用する対象障害者(※)である労働者の数が、その雇用する労働者の数に障害者雇用率を乗じて得た数(その数に1人未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる)以上であるようにしなければなりません(障害者雇用促進法43条1項)。
※対象障害者とは、身体障害者、知的障害者または精神障害者(精神保健および精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けているものに限る)をいいます(障害者雇用促進法37条2項)。
この障害者雇用率が、3月1日から以下のとおりとなります(いずれも同日前より0.1%引上げ)。
・一般事業主(一定の特殊法人を除く)………………………100分の2.3
・一定の特殊法人…………………………………………………100分の2.6
・国・地方公共団体(都道府県等の教育委員会を除く)……100分の2.6
・都道府県等の教育委員会………………………………………100分の2.5

◆障害者雇用率の引上げの影響
障害者雇用率の引上げに伴い、対象障害者を1人以上雇用する義務のある一般事業主(一定の特殊法人を除く)は、常時雇用する労働者の数が43.5人以上の事業主となります(1人÷100分の2.3=43.478≒43.5人)。
この事業主には対象障害者の雇用義務のほか、次の義務・努力義務が課せられます。
・毎年、6月1日現在における対象障害者である労働者の雇用に関する状況を、翌月15日までに、管轄公共職業安定所長に報告する義務(障害者雇用促進法43条7項)
・障害者雇用推進者を選任する努力義務(障害者雇用促進法78条)

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高橋 邦名(たかはし くにかた)

(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。 社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。

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