人事労務トピックス

コロナ禍の入社、75%が「メリットを実感」~日本能率協会調査

日本能率協会マネジメントセンターが、2019~2020年に入社した新入社員と、新入社員の育成に関わる上司・先輩社員の計1,502名に対し、新入社員の意識と行動、指導者の指導と育成に関するアンケート調査「イマドキ若手社員の仕事に対する意識調査2020」を実施しました。これによると、コロナ禍での入社について、75.5%が「メリットがあった」と回答していて、理由として「周りに人がおらず集中できた」、「時間をかけて仕事が覚えられた」などが挙げられています。調査結果の一部を抜粋して紹介します。

◆内定~配属前の課題・不安:テレワーク中心となり職場との接点が減少
 内定から入社後すぐの状況としては、例年と変わらず「社会人としての生活リズム」に課題や不安を感じる結果となりました。一方で、20年入社者の回答結果を見ると、テレワークにおける課題や不安が顕在化していることがわかりました。具体的には、「職場の人間関係」や「配属先の業務遂行を通じた成長」に関する回答結果が課題や不安として増加しています。これは、テレワークなどによる対面(コミュニケーション量)の減少や配属時期の後ろ倒しなどが影響しているとしています。

◆配属1~3か月後の課題・不安:配属後も具体的な業務経験が少なく、職場キャリアが描けていない
 配属後の課題・不安はコロナ禍の影響を大きく受けているといえます。この調査で20年入社者の70%が緊急事態解除宣言中は自宅勤務であったことから、従来よりも配属時期や業務習得に遅れが生じているといえます。その結果、業務経験を通じたキャリア形成や課題を認識できる状態ではないことが明らかになったとしています。

◆コロナ禍で入社したメリット: 「ゆっくり成長できた」などの理由で75%がメリットと実感
 コロナ禍での入社について、2020年入社の新入社員258名(有効回答274件)のうち75.5%が「メリットがあった」と回答。また、上位3位までのカテゴリーは「1位:研修・教育・自己研鑽」「2位:仕事」「3位:在宅勤務・テレワーク」となり、具体的な記述内容として「周りに人がおらず集中できた」「時間をかけて仕事が覚えられた」「リモート推進のメリット、デメリットを先入観なく認識できる」などが挙がりました。

◆指導・育成側の実態:新人の成長は気になるが、残業時間の削減が優先
 2020年入社の新入社員の指導・育成担当者(808名)にも現場におけるコロナ禍の影響を質問。「現場配属時期へ影響があった」「配属後に新人が職場になじめるか不安である」「緊急事態宣言期間中、新人・若手に指導がしにくかった」の回答結果がいずれも60%以上の回答結果となりました。一方で、働き方改革が進む中での「新入社員との関わり方」については「成長につながる仕事であっても、残業をしないことを優先して業務を減らしている(59.1%)」と回答しています。新人の成長は気になるが、残業時間の削減を優先し、限られた時間の中でのマネジメントや成長支援を指導者側も迫られている結果になっています。

◆総括:継続的なフォローアップ教育が自律した人材へと成長するための鍵に
 調査のしめくくりとして、ニューノーマル時代においては、ビジネスパーソン1人ひとりが期待される行動(アウトプット)を実現するために、日々のプロセスから学びを深め、自律的に成長していくことが求められるとしており、そのような人材を多く輩出するためにも教育設計は「もっと主体的・効果的に時間を有効活用すること」をめざしていくことが必要だとしています。具体的には、デジタルとアナログ、個人学習と集合学習の効果的な機能融合を行い、ハイブリッド型の教育設計で学習効果を高めていくことが重要だとしています。2020年入社者はコロナ禍の影響で従来よりも配属時期や業務習得に遅れが生じており、「働くこと自体への適応」「自社への適応」「新たな価値創出に向けた多様な連携への適応」と環境適応力を着実に高めていけるフォローアップ教育が重要だとしています。

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高橋 邦名(たかはし くにかた)

(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。 社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。

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