人事労務トピックス

大企業の働き方改革の影響による中小企業への「しわ寄せ」対策

◆働き方改革と「しわ寄せ」
6月26日、厚生労働省は、中小企業庁・公正取引委員会とともに『大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への「しわ寄せ」防止のための総合対策』(以下「しわ寄せ対策」といいます)を策定したと公表しました。
働き方改革関連法が今年4月に施行され、大企業における働き方改革(時間外労働の上限規制等)は一定の成果を上げています。その一方で懸念されているのが、“大企業の働き方改革に伴う下請等中小事業者へのコスト負担を伴わない短納期発注等の下請法等違反”(以下「しわ寄せ」といいます)です。

◆「しわ寄せ」具体例
「しわ寄せ」の具体例として、厚労省資料では下記のような事例を挙げています。
・買いたたき(例:短納期発注により、休日対応を余儀なくされ、人件コストが増大したにもかかわらず、通常の単価とされた)
・受領拒否(例:受注後、一方的に納期を短く変更されたため、やむを得ず長時間勤務により対応したものの納期に間に合わず、納入遅れを理由に受領を拒否された)
・不当な経済上の利益要請(例:商品発注に関するデータのシステム入力という発注者側の業務を、無償で代行するよう強いられた)

◆「しわ寄せ対策」の4本柱
 下記①~④を柱に、中小企業に時間外労働の上限規制が適用される令和2年4月までに具体的な取組みをするとされています。
① 関係法令等の周知広報(労働局・労基署がリーフレット等を活用して周知、ほか)
② 労働局・労基署等の窓口等における「しわ寄せ」情報の提供(寄せられた「しわ寄せ」の相談情報を地方経産局に提供)
③ 労働局・労基署による「しわ寄せ」防止に向けた要請等・通報(下請事業者に対する監督指導において、労働基準関係法令違反が認められ、その背景に「しわ寄せ」が疑われる場合、公取委・中企庁に通報、ほか)
④ 公取委・中企庁による指導及び不当な行為事例の周知・広報(「しわ寄せ」について、公取委・中企庁が、下請法等に基づき厳正対応、ほか)
 そもそも「しわ寄せ」は下請法や独占禁止法等に違反する行為ですが、今後はより厳しい目で見られます。自社が「しわ寄せ」を強いていないか、また、他社から強いられてはいないか、注視していきましょう。
【厚生労働省「大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への「しわ寄せ」防止のための総合対策』を策定しました」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05446.html

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高橋 邦名(たかはし くにかた)

(株)高橋賃金システム研究所 代表取締役/多摩労務管理事務所 代表。 社会保険労務士。賃金体系を専門に、労務管理制度の策定から定着、人材の開発・育成という従業員を活かす『活人コンサルティング』をテーマに活動し、人事から経営を支援する。セミナー講演多数。「『社長、やりましょう!』と社員が言いだす経営」(H&I)、「CSR時代のミッションマネジメント」(泉文堂)、「人を活かせば、企業はまだ伸びる」(鳥影社)他多数。

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